るろうに剣心 追憶編

第一幕
【斬る男】

感 想


追憶編第一幕【斬る男】ようやく見ました。

最初に「過激な描写」とかの注意書きがありましたので、見る前はどこまでの描写なんだろ?とか思っていましたが、まあ、大人が見るんじゃ平気かな、あんなモンでしょうって感じのバイオレンスっぽいものでした。要は斬殺場面の描写が従来のアニメよりちょっとリアルだってことだと思います。

見終わって思ったのは、この「るろうに剣心 追憶編」って言う作品は原作の漫画のように少年誌でやる子供向けの話じゃなかったのかもしれないなぁ〜ってことでした。人がバタバタ殺される描写が多いっていうのも、勿論そう思う要因ではあると思うんですが、それより「何で剣心が人斬りしているのか」とか「人斬りして奈落に落ちていく様」みたいのを真っ向から描くとなると、少年誌にあるようなヒーロー像からはどだいかけ離れたお話になっちゃうんじゃないかって思いました。

剣心って「弱い人を助けたい」って言う志はあるにしても、無理強いされてる訳じゃなく、やってることは所詮人殺しのテロリストなんじゃないかなって思う訳ですよ。それを無理矢理、強い、だから人助けが出来るヒーローっていう持っていき方に無理があったんじゃないかってことです。特に追憶編に関してはそれが如実に出たんじゃないかなって思ったんです。

こんな事、今更書く必要はないとも思いましたが、追憶編見ていて改めて本当にそう思ったもので。私は、そういう自分の起こした“罪”みたいなものに対して、人生を掛けての償い、そして自分の引き起こした事に対して、どこでどういう風に吹っ切って自分の生き方を決めていくのかみたいなものが見たかったのかもしれないです。そう、剣心に対して「もう少し自分のこと、考えてくれよぉ〜」みたいに思っているところがあるのかなぁ〜なんて思ってしまいました。

でもこれって原作の漫画がどうのこうの言ってるんじゃないです。原作はあくまでも描き手の作家さんのものだと思ってますから、原作で引き続き剣心がヒーロー然としていてくれても、別に何の問題もないですけど(笑)。

と、これは感想じゃないですね。OVAはとても良いと思いました。こう、見終わってなんか重くのしかかるものがあるようにも思いましたけど、これくらい重々しい時代劇然とした雰囲気は好きです。エンディングの風車のタイトルバックなんかも渋い時代劇見ているようで、時代物好きな自分は充分満足しました。

こういう内容では、TV版の絵柄じゃ違和感あったかもしれないですね。CGの使い方とかもさりげなくって感じに思えたし。でも、あの類の絵柄って一歩間違うととっても救いようのないものになっちゃうような気もします。引き続き作画のスタッフさんには頑張って頂きたいものだって思いました。殺陣のシーンなども、ほんとに人斬ってますって感じに血飛沫が散って、この作品には似合っているかなって思いました。全体の臨場感みたいなものが統一されているからなんでしょうか。

ただ、こと剣心に関しては見ていてちょっと辛かったです。他の人と比べての背の低さ(身体の小ささ)が見ていて悲しかったですね。そりゃあまだ世間一般から見れば、子供と言って良い年齢ですからああ言う感じなんでしょうけど、それだから余計にそう思っちゃいました。それでも人斬りしているんだなぁ〜、お酒なんかも飲んじゃっているんだなぁって。まあ、自分でも納得して、無理強いされている訳じゃなく人斬っているんだからいいじゃんって言ってしまえばそれまでの事なんでしょうが。

でもコマを手放さずに持っている所とかは、昔の自分をどっかで捨てられないみたいにも見えて辛かったかな。それでも逃げられず、行くとこまで行っちゃうみたいな。ああ言う小道具も上手く使われていたなぁって思いました。あと、椿の花とかも。何を思ってしたのかは分かりませんが、清里さんの骸に椿の花を置いたのも剣心なんでしょうね。椿の花の紅い色と血の色が眼の前でチカチカしました。そういえば、映画(維新志士の鎮魂歌)でも椿の花が象徴的に使われていましたね。何かあるのかな?

桂さんも高杉さんも、原作の漫画のイメージが強かったように思いましたけど、結構雰囲気的に上手く描けていたと思います。桂さんの優男?ぶりとか、高杉さんの感じも良かったんじゃないかな。昨年行った萩で散々聞いた吉田松陰の辞世の句なんかも出てきましたし、桂さんと剣心が京都に発つときに見送る高杉さんの場面の背景の日差しの強さなんか雰囲気が出ていたと思いました。そして、何よりイメージに合っていたと思うのは“飯塚さん”でした。キャラボイスが中尾さんと発表された時点で、多分はまるだろうなぁ〜と思ってはいたんですが、やっぱり良かったです。ああいう飄々としていて、実は腹に何かあるみたいな感じがよく分かって、やっぱりお上手でした。

それから最後の刺客を斬った時、また剣心の頬の傷からしつこく血が流れてましたが、あれって止まることがあるんでしょうか?願わくば早いとこ傷さえも無くなってほしいなんて思ってます、自分。まあ、このOVAでは傷が増えることはあっても、消えることなんてないんでしょうけどね。

で、(ほんとはどうでもいいんだけど)ちょこちょこ画面に出てきて、最後に一言喋ってた女性ですが、何しに出てきたかわかりませんね。次回には目的とかはっきりするんでしょうか?できれば原作と違うキャラ設定(性格設定とか)で書いてくれると嬉しい(マジ)

天に変わって人斬ることなんて誰にもできないと思う(当たり前)。次回の「迷い猫」もまたDVDは通常より発売が遅れますね。早く見たいのに(^^ゞ。


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